上下顎骨切り術　ルフォーI型骨切り術　下顎矢状骨切り術

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上下顎骨切り術について

上下顎骨切り術の対象は、あご（顎）の骨格的位置異常がある方です。
顎の位置異常を治す場合は歯のかみ合わせを維持しながら、上と下の顎を移動しなければなりません。これを上下顎骨切り術（両顎手術やTwo Jawなどと表現されることもあります。）といいます。上顎の位置は悪くなく、下顎のみ出ている下顎前突の場合は矯正と組み合わせて、下顎の手術のみ行うことがありますが、通常は上と下の顎を同時に動かしたほうがしっかりとした変化を出しやすいです。

上顎の骨切り術はルフォーⅠ型骨切り術（Le FortⅠ）と呼ばれる骨切り術を行います。鼻の通り道（梨状口）を横切り、後方まで水平に切ります。上顎の歯を一塊にして動かします。

ルフォーI型骨切り術

（梨状口）を横切り、後方まで水平に切って上顎の歯を一塊にして動かします。
下顎の骨切り術は下顎矢状骨切り術（SSRO）と呼ばれる骨切り術を行います。下顎のエラの部分（下顎角部）を魚の2枚おろしのように外側と内側に分けて、下顎の歯と下歯槽神経（オトガイ神経）を一塊にして動かします。
上下顎を移動させることによって輪郭の変化の自由度が高くなり、よりダイナミックな変化を出すことができます。

下顎矢状骨切り術

上下顎を移動させることによって輪郭の変化の自由度が高くなり、よりダイナミックな変化を出すことができます。

下顎骨を削る手術(術前、術後)

さらに顎を小さくしたい場合は下顎骨を削る手術（アゴ削り）を追加することができます。上と下の顎の移動後の輪郭をシミュレーションしてアゴ削りを同時に行うかどうか判断します。判断に迷う場合は上下顎骨切り術を先に行い、腫れが落ち着いて行うかどうか決めることもできます。

治療に適している方

顔が長い(ロングフェイス)
上アゴが前に出ている、または後ろに下がっている
顔面左右非対称
ガミースマイル
下アゴが前方に出ている、受け口(下顎前突)
アゴが曲がっている(下顎非対称)

当クリニックの特徴

当院には被曝量が少なく、座位で撮影が可能なコーンビームCTを導入しています。画像シミュレーション(Photoshopもしくはベクトラ３Dなど)を行います。電動骨削骨切器具、超音波骨削骨切器具を用いて低侵襲の手術を行います。

症例写真

術前/術後2ヶ月

症例写真

患者さまは30代女性で、下顎の大きさ、顔の長さを気にされていました。
最初は下顎骨切り術をご希望されましたが、骨格性の下顎前突であると判断し、上下顎骨切り術をおすすめさせていただきました。
口腔外科・矯正歯科の先生のご協力の下、上下顎骨切り術を行いました。

Flow

施術の流れ

1. カウンセリング
患者様のお悩みをお伺いし、治療の計画を立てます。当院ではCTや３Dシミュレーションを行っています。仕上がりのご希望と可能な骨の移動の範囲を相談した上で手術内容を決定します。また当院では提携している歯科、矯正歯科がございますので、協力して治療を行っています。
2. 切開
上顎：上唇と歯肉の粘膜を切開し、角度を変えながら骨膜を切り離していきます。
下顎：口腔内の下あご骨のライン上で、粘膜を切開し、頬筋を切り離します。その後、下顎枝前縁から慎重に骨の剥離を進めていきます。
3. 骨の切断
上顎：上顎骨を露出させて骨切りを行います。
下顎：下あごの外側と内側の骨を露出させ、内側の皮質骨（骨の表面部の硬く緻密な骨）を水平に骨切りします。下歯槽神経を避け、下顎枝の前面の矢状骨切りを行います。
4. 上下顎の移動
手術前に決めた計画に従って、あごを移動させながら余剰の骨を切除して整えます。骨を分割した後の移動や関節の位置づけは、噛み合わせの上でとても重要になります。
5. 骨片の固定
骨を調整した後は動かないようにチタンプレートにて固定します。上下のかみ合わせを整えるために金属の装置（シーネ）を装着します。
6. 縫合
最後に切開した粘膜を縫合して、手術を終了します。

施術データ

施術時間	8時間
腫れ	★★★
麻酔	全身麻酔
ダウンタイム	手術部位がおよそ2週間腫れます。マスクで隠れますので、しばらくはマスク着用で外出する必要があります。入浴や運動などの制限はありません。
通院回数	4回 (術後2週間に抜糸、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)

治療を受けられない方

・妊娠、授乳中の女性
・虫歯（う歯）がある：先に虫歯の治療が必要になります
・出血傾向・凝固能異常のある方

手術後の経過とアフターケア

・手術当日
手術当日は手術終了後、当院に滞在して頂き（２日間滞在していただきます）、経過を観察いたします。患者様にはゆっくりお休みいただき、全身状態を管理いたします。口腔内から血液を排出するドレーンがでます。顔には腫れを抑えるフェイスバンドを72時間あてます。
・顎間ゴム固定
手術後、顎の安静のために顎間固定を顎間ゴム（エラスティック）を用いて行います。手術翌日から３〜６週間は終日装着して、かみ合わせの安定を図ります。顎間固定をしている間は口を開ける動作ができません。
・手術後の通院
かみ合わせの状態によって約３〜６週間頃にご来院頂き、問題なければゴムを掛ける装置（シーネ）を除去し、抜糸を行います。その後は術後３ヶ月、６ヶ月、１年後に来院していただきます。
・口腔内の清潔
食事をした後は、見える範囲を歯ブラシで丁寧に磨き、口腔内の清潔を保つようにしてください。
・食事に関して
３〜６週間ほどは流動食になります。それ以降はお粥などスプーンで潰せる程度の柔らかい食べ物を摂るようにし、徐々に普通食を召し上がっていただけますが、６ヶ月ぐらいは固いものや辛い食べ物は避けてください。

副作用・リスク

・感染
術前後の全身状態が影響して感染を起こす場合があります。その場合は洗浄、抗菌薬の投与などの処置が必要になることがあります。
・血が溜まる
出血して血が溜まることがあります。多量の場合は、切開して処置を行います。
・腫れ・痛み
おおよその強い腫れは術後２週間程度で術前と同じぐらいに戻ります。個人差がありますが、完全に腫れが引くのは６～１２ヶ月を要します。手術後には痛みが出ます。特に強いのは４〜５日ですが、時間の経過とともに改善していきます。
・しびれ・知覚麻痺
手術でアゴや下口唇の知覚神経の近くを触る場合には、しびれや知覚麻痺が起ることがあります。術後1年以内には治まりますが、残る場合もあります。
・アゴの違和感
術後は顎の広がり具合が変わるので、アゴが締め付けられるような違和感が生じることがあります。術後1年以内には治まりますが、残る場合もあります。
・口唇の傷
口を大きく開ける器具を使用しながら手術しますので、口唇に擦り傷や色素沈着が起こることがあります。時間の経過とともに治まりますが、治りを早くする外用薬を処方する場合もあります。
・皮膚のたるみ
骨が減量されると皮膚が余ります。その場合はたるみ治療を行うことをお勧めします。

施術費用

アゴプロテーゼ

アゴプロテーゼ	298,000円/218,000円
アゴプロテーゼ抜去	98,000円

ハイドロキシアパタイト

9mlまで	850,000円/800,000円

※4ml毎追加　100,000円

顎分節骨切り

上顎分節骨切り	950,000円/750,000円
下顎分節骨切り	750,000円/550,000円
上下顎同時分節骨切り術	1,450,000円/1,170,000円