脂肪吸引について
脂肪細胞を物理的に取り除くためリバウンドしにくく、自然で美しいラインを作ることができます。
脂肪は皮下筋膜をへだてて2層構造になっており、それぞれ皮下脂肪浅層、皮下脂肪深層といいます。両方の脂肪層からまんべんなく採取することが重要です。
皮下脂肪浅層を採取することで皮膚の引き締め効果(タイトニング)、セルライトの減少、脂肪吸引後のたるみを予防することが出来ます。採取しすぎると表面の凹凸や色素沈着をきたしてしまい、脂肪注入などで修正を試みますが、一旦生じてしまうと修正が困難なことが多く、丁寧な吸引が重要になってきます。
皮下脂肪深層は脂肪のボリュームが多く、この部位を採取することで大きな効果を得ることが出来ます。また凹凸変形は生じませんので、リスクは少ないです。ただ、皮下脂肪浅層を採取せずに深層だけ採取すると雪崩現象のように皮下脂肪浅層の重みでたるみが生じてしまいます。たるみが生じるとラインがきれいにならないため注意が必要です。
手術は静脈麻酔、全身麻酔が必要となります。麻酔後、小さな穴をあけて、そこからカニューラを挿入します。チュメセント液という止血剤入りの麻酔液を吸引部分に注入し、脂肪吸引します。バランスを見ながら行います。吸引するとその部位がだんだんと細くなっていくため、ラインを術中に確認して形を作っていきます。吸引した後、傷を縫合します。圧迫バンドを巻いて終了です。
カニューラについて
カニューラは穴の数、形、位置、太さにバリエーションがあり、一般的に数が多く、穴が大きく、カニューラが太いほうがたくさんの脂肪をすばやく吸引することが出来ます。

脂肪の量や皮膚の厚みなどを考慮してカニューラを選択します。
四肢・体幹部などは太めのカニューラ、顔は細めのカニューラを用います。
カニューラが太いと吸引は楽なのですが、強力なので、吸いすぎることがあり、術後に凹凸を生じることもあります。いったん生じると修正が困難となりますので、注意する必要があります。当院では他院と比較して細いカニューラを用いることで吸引のムラをなくし、滑らかな輪郭をつくることを心がけています。
手術について
手術時間は30分から1時間程度です。傷の目立ちにくい部分を数カ所切開し、出血が軽減されるように工夫したチュメセント液を充満させ、カニューレで脂肪を吸引していきますまた浮腫や出血斑を最小限にするように手術終了時に体内に残ったチュメセント液・血液などを排出して縫合します。
手術後について
手術終了後は圧迫バンドを装着していただきます。術後72時間は外すことができません。翌日から首から下はシャワーをしていただいてかまいませんが、顔、頭は72時間濡らすことができません。傷口に貼ってあるテープは自然に剥がれるまではご自身で剥がさないでください。1週間後に抜糸にご来院していただきます。その後の検診は1ヶ月、3ヶ月、半年になります。
術後は腫れが引くまで喫煙、飲酒は避けて下さい。また術後の腫れ、たるみの予防にフェイスバンドは主治医の許可が下りるまで装着を続けて下さい。
強い腫れは2週間前後続きますが、徐々に改善していきます。完全に腫れが引くのは3〜6ヶ月かかります。内出血や感染症になった場合、腫れが長引くこともあります。
当クリニックの特徴
出血が軽減されるようにチュメセント液の止血剤の配合を工夫しています。また浮腫や出血斑を最小限にするように手術終了時に体内に残ったチュメセント液・血液などを徹底的に排出しています。
皮膚表面の凹凸を減らすためにカニューラは細いものを使用しています。太いものと比べて吸引時間はかかりますが、滑らかに仕上がる特徴があります。また線維組織の強い部分は吸引がしづらいのですが、当院では超音波で脂肪を破砕する機器を用いています。過去の機器と比べて強力な破砕効果があり、線維組織の多い部位(背中、腰部)や瘢痕形成している修正手術などで用いています。
脂肪吸引はただ採取すれば良いものではありません。身体の美しい曲線(カーブライン)を作ることが重要です。そのためにはメリハリのある吸引が必要になってきます。
また線維組織が強い脂肪(セルライト)や2回目以降の脂肪吸引など通常の脂肪吸引では難しい症例でも超音波を用いることで効果的に脂肪吸引することが出来ます。
施術費用
よくある質問
- 脂肪吸引の効果について教えてください。
- 1回の脂肪吸引でほぼ十分な量の脂肪を採取することが可能です。脂肪細胞をしっかりと減らすことが出来ます。取りたいところと残したいところを分けることができますので、メリハリをつけることが出来ます。顔などは顔全体を吸引すると痩せてしまい、老けて見えることがありますので、フェイスラインや顎下をしっかりと吸引し、頬前面の脂肪はしっかりと温存するなどの工夫が必要です。
- 脂肪吸引の効果は持続しますか?
- 1回の脂肪吸引で効果がありますが、脂肪細胞をゼロにできるわけではありません。
脂肪細胞の数が増えるわけではありませんが、体重が増えると脂肪細胞のサイズが大きくなることでわずかに太る可能性がありますが、部分痩せ効果はずっと続きます。
治療を受けられない方
妊娠、授乳中の女性。18歳未満、65歳以上、血流不全がある患者、免疫不全、自己免疫疾患、糖尿病、注入部位に皮膚潰瘍や感染がある、出血傾向・凝固能異常のある方、膨らみの原因が内臓脂肪である方。
副作用、リスク
・凹凸ができる
脂肪吸引は小さい傷から人工的に脂肪を吸い出す手術です。で きるだけ丁寧に吸引しますが、わずかな凸凹が出来る可能性があります。過剰に脂肪を取り過ぎると生じやすくなります。適度な脂肪吸引におさえておく必要があります。
・ひきつれ感(つっぱり感)
手術後1ヶ月は強いひきつれ感があるかも知れません。 約3ヶ月~6ヶ月程で改善していきます。
・左右差:左右差が出ないように意識的に吸引していきますが、もともとの脂肪の量 や筋肉の付き方が同じではない為、左右差が出る可能性があります。
・感覚の鈍さ(知覚鈍麻)
吸引部の感覚が鈍くなります。時間の経過とともに改善 しますが、軽度なしびれは残存する可能性があります。
・皮膚のたるみやしわが出る
年齢、肌のハリ、脂肪を取った量、吸引した部位にも よりますが、脂肪がなくなる事によって、たるみやしわが出る事があります。 たるみを予防するために最初の3ヶ月の圧迫が重要になります。いったんたる んでしまうと修正は困難になります。
・出血
チュメセント液により出血は少なくなりますが、稀に出血する事があります。出血が多い場合、内出血、紫のアザが強く出る事があります。 1〜2週間で消失します。
・腫れ
強い腫れは2週間前後続きますが、徐々に改善していきます。完全に腫れが引くのは3〜6ヶ月かかります。内出血や感染症になった場合、腫れが長引くこともあります。
・痛み
傷の痛みが生じます。特に強いのは最初の2~3日です。時間の経過と共に痛みの頻度、程度は改善していきます。
・感染
手術は消毒後、厳重な清潔操作のもとに行いますが、稀に術前後の局所や全身の状態が影響して感染を起こす場合があります。その場合は抗菌薬の投与などの処置を要し、通院が必要になる場合があります。
・傷痕
傷痕は時間の経過と共に目立たなくなってきますが、アフターケアや体質により目立つ場合があります。
・薬アレルギー
医学の発展により、薬物に対するアレルギーの頻度は減少していますが、理論上は全ての薬物にアレルギーの可能性があります。重篤なアレルギ ーが生じるとショック状態に陥り、生命に関わる事があります。症状が生じた 場合は手術を中止する事があります。
・深部静脈血栓症
長時間手術の場合、下肢の静脈に血栓が形成され、肺静脈に流れ、呼吸障害をきたすことがあります。
・脂肪塞栓:非常に稀ですが、脂肪滴が肺に飛び、呼吸困難になる可能性があります。

